持ちペラ制度(選手持ちプロペラ制度)とは
持ちペラ制度は1988年5月から始まりました。
正式名称は「選手持ちプロペラ制度」と言います。
内容は「選手個人が所有するプロペラをレースで使用できる」というもの。
競艇場に持ち込めるプロペラは5枚まで、選手はレースに合わせてプロペラ使用します。
持ちペラ制度の影響で、多くのボートレーサーがプロペラ研究に取り組みました。
持ちペラ制度・ペラ調整がレースの成績に直結する時代
現在の競艇からは想像しづらいですが、ペラ調整によってモーター性能は天と地ほど変わります!
その理由はペラ調整の自由度です。
なんと持ちペラ制度の時代はペラを削ることが可能(現在は削り禁止)
他には専門業者に加工を委託するなど、基本的にはなんでもあり。
その結果、現在では考えられないほどのパワーを持ったモーターが誕生しました。
当然、優秀なペラを作ったレーサーがレースでも活躍します。
ペラグループの誕生
持ちペラ制度では競艇選手自身がプロペラを用意しなくてはいけません。
そこで重要となるのが資金力です。
個人でプロペラを改良するには設備面で多くのコストがかかります。
具体的には騒音対策です。
プロペラ研究ではハンマーでペラを叩きます。
すると当然ですが大きな音が発生!
それを防ぐために、専用の防音室を用意する必要があるのですが・・・新人レーサーにそんな資金はありません。
そこで登場したのがペラグループです。
選手同士でグループを作り、共同で良質なペラを作ろう!という取り組みです。
これはコスト面のほかに、作業効率や情報収集の面でも有利に働きます。
具体的にはペラ調整の叩きが上手い選手、削りが上手い選手など得意分野に別れて作業を行います。
そしてグループで得た良質なプロペラは「ペラゲージ」で形状を保存します。
これがペラグループの資産になるわけです。
多くの支部でペラグループが誕生しました。
持ちペラ制度(選手持ちプロペラ制度)廃止の理由
持ちペラ制度ですが2012年4月で廃止となりました。
廃止の理由は「持ちペラだと予想が難しくなる」からです。
持ちペラを使用するとモーター性能が大きく変化します。
そのため、モーター勝率といったデータが使い物になりません。
また、プロペラの情報は一般の競艇ファンには公開されませんでした。
このことから、持ちペラを使用すると予想が難しくなります。
また、他の理由として「資金力の格差」を無くすことも挙げられます。
前述した通り、良質なペラを作るには莫大な資金がかかります。
その結果「資金力のあるレーサーが強い」といった構図ができてしまいます。
本来、レースは技術で勝負するものです。
持ちペラ制度の廃止にはこのような背景もあります。
持ちペラ制度(選手持ちプロペラ制度)廃止の影響
当時、持ちペラ制度の廃止は大事件です。
ボートレーサーやファンには、どのような影響を与えたのでしょうか。
持ちペラ制度廃止によるレーサーへの影響
持ちペラ制度の廃止後、プロペラ自体の性能差は少なくなり、モーターの整備力と操縦技術で勝敗が決まるようになりました。
以前より公平にレースが行われるため、持ちペラ制度廃止は正解だったようです。
しかし、ペラの調整力で結果を出していた選手は大きく成績を落とすことになります。
特にアウト屋のレーサーは、特別なペラに仕上がることができず、レーススタイルの変更を余儀なくされました。
そしてペラグループは必要なくなり、ほとんどのグループは解散します。
持ちペラ制度廃止によるファンへの影響
現在のボートレースは、各競艇場が準備したモーターとペラでレースを行います。
現在のプロペラ制度を「オーナーペラ制度」と呼びます。
オーナーペラに戻ったおかげで、モーター勝率などのデータが信頼できます。
その結果、ボートレースファンは予想をしやすくなりました。
しかしデメリットもあります。
それは「モーターパワーが落ちて迫力のあるレースが少なくなった」という点です。
具体的には外枠が不利になったため、逆転レースが少なくなりました。
確かに、現在でも6コース勝率はたったの1%です。
公平なレースができるといっても、インが強すぎる現在のボートレース。
今後も何か変更があるかもしれません。
まとめ:持ちペラ制度(持ちプロペラ制度)廃止で公平なレースへ
持ちペラ制度廃止はボートレースに大きな影響を与えました。
現在の「モーターとペラはセットで選手に渡す」、「ペラの調整は開催期間のみ」といったルールから考えると、信じられない時代のように感じます。
現在の制度の方が公平なレースが行われるので、選手にとってもファンにとっても良いルールだと思います。
また、持ちペラ制度や当時の上下関係については、漫画「モンキーターン」で詳しく描かれています。
未読のボートレースファンの方は必見です。