まずはモーター(エンジン)の基礎知識を解説!
まず最初は
モーターの基礎知識
をみていきましょう。
ちなみに競艇で使用されるモーターは全て、ヤマト発動機株式会社製の
「ヤマト331型」
というものです。
同じものを使用するにもかかわらず、モーターそれぞれには個体差があるため、ひとつずつ性能が違うのが競艇の面白さでもあります。
モーターは各競艇場が個別で所有している
競艇で使用されるモーターは選手が各々で所有、持参しているものではありません。
各競艇場がそれぞれ所有しており、
開催ごとに大会に斡旋された選手にひとりひとつ貸し出すシステム
を取っています。
そのため、選手が自分好みのモーターを使用できるかは運次第です。
使用するモーターは前日検査(前検)の抽選で決まる
選手が大会で使用するモーターは
前日検査(前検)の日に抽選により決定
します。
どの選手が
どのモーターを引くかは完全にランダム
です。
モーターは実力よりも大事と語る選手がいるほどモーターの性能はレースに大きく影響するため、とくに大きな大会などではモーター抽選に大きな注目が集まります。
エースモーターは特別な存在!モーター(エンジン)に性能差がある原因は?
同じ「ヤマト331型」というモーターを使用するにもかかわらず、
モーターには性能差が生まれます
。
実際にモーターの成績にはかなりのばらつきがあり、成績が良いモーターは
「エースモーター」
や
「超抜モーター」
として注目される存在です。
性能差が生まれるのは、 製造時に生まれる各パーツごとの若干の差や、使用状況による劣化や摩耗が関係している といわれています。
また、競艇では各大会ごとに選手それぞれが、モーターのパーツをいじったり変更を繰り返すことで、自分好みのモーターに仕上げるための調整をおこないます。
競艇ではこれを「整備」と呼びます。
整備にも出足型の調整や伸び足を重視した調整などさまざまなものがあり、それによってモーターに差が生まれることもあります。
モーターの良し悪しは2連対率をチェック
競艇では
モーターの良し悪しを、2連対率を基準に考えます
。
出走表にはモーターの簡単な成績が記載されています。
「2連率」が2着以内に入っている確率で「3連率」は3着以内に入っている確率です。
数字がいいほどレースで上位に来る
確率が高くなります。
以下の簡単な基準を覚えておくとよいでしょう。
- 2連対率50%以上:超抜モーター
- 2連対率40%以上:調子の良いモーター
- 2連対率30%以下:調子の悪いモーター
ちなみに
2連対率が最も高いモーター
を、
「エースモーター」
とも呼びます。
エースモーターを引けば、たとえ実力が劣るB1級などの選手でも活躍の可能性あり。
ぜひ注目しましょう。
出走表には具体的な数字が表示されているので、初心者の方でもチェックがしやすいです。
「モーター勝率=2連対率や1着率」ではないため注意が必要
勝率
という言葉を聞くと、普通は勝利した割合を連想するため1着率などと思うかもしれません。
しかし、競艇では勝率は、全出走結果に基づいて与えられる数字を指すため、そもそも確率を表わすものではありません。
競艇では
各レース1着から6着までの全着順に「着順点」が付与
され、
着順点の全ての合計を出走回数で割ったものが勝率
となります。
たまに「モーター勝率」という言葉を使うことがありますが、モーター勝率は1着率や2連対率を表すものではないため注意しましょう。
モーターの性能は予想に関係ないはウソ!展示タイムを予想に役立てよう
競艇をやっていると、
「モーターの性能は着順に関係ない」
などという人が一定数います。
しかし、これは
真っ赤なウソ
です。
競艇では直線のたった0.13秒で、1艇身の差がつくといわれています。
直線の走行には技術の差があまり影響しないので、
モーターの性能だけで1艇身以上の差が生まれる
こともあるくらいです。
そのため、選手の実力と同じくらい、モーターも予想には重要な要素なのです。
展示タイムやオリジナル展示データは初心者必見の情報!
モーターは予想に非常に重要だとお話ししましたが、
競艇初心者でモーターの性能差を見極めるのは非常に難しい
のが現実です。
そこで役立つのが、
「展示タイム」
と各競艇場が独自に公開している
「オリジナル展示データ」
です。
公開される情報とその特徴は以下の通り。
- 【展示タイム】直線の伸び足の調子が分かる
- 【一周タイム】総合的な調子が分かる
- 【まわり足タイム】まわり足と出足の調子が分かる
- 【直線タイム】行き足と伸び足の調子が分かる
すべての数字が重要ですが、なかでも 「展示タイム」 と 「一周タイム」 は非常に重要です。
展示タイムがいいということは、直線でリードできる優良モーターなので、かなり優位にレースを進めることができます。
展示タイムで確認すべきは「左隣の艇とのタイム差」。
左隣の艇よりも0.1秒以上展示タイムが早い場合、スタートさえいければ簡単にまくっていく可能性
があります。
数字を確認するだけで分かる情報ですので、穴を狙うならかなりおすすめです。
また、
1周タイムはその艇の総合的な足を見るのに効果的なタイム
です。
展示タイムと1周タイム両方で1位の艇はかなり調子が良いので、必ずマークしましょう。
モーターの見方!展示航走、周回展示のポイントは「ターン」
モーターの調子を具体的に知るためには、
展示航走
をチェックする必要があります。
しかし展示航走、とくに周回展示は、初心者が予想に活かすのはなかなか難しいです。
そこで、
初心者でもチェックしやすいポイントを2つ
ご紹介します。
- ターン後に艇がバタバタしていないか
- ターンの際にターンマークをはずしていないか(ターンマークから離れてターンをしていないか)
ターン後に艇がバタついている場合、その艇はまわり足や出足が悪いモーターだということが分かります。
同様に、
ターンマークから大きく離れてターンをしている選手も調子が悪い
といえます。
減速、加速が上手くいっておらず、イメージ通りにターンができていない証拠です。
モーター(エンジン)の整備経歴とチルト角度は非常に重要!
選手のモーターの情報については、 ボートレースオフィシャルサイトの出走表や各競艇場の公式ページから確認 することができます。
選手は前検日に渡されたモーターを繰り返し整備し、大会期間のなかで性能アップを目指します。
モーターは整備の基本ともいえる「プロペラ」をはじめ、さまざまなパーツから構成されているため、
それぞれのパーツを整備することで性能アップや舟足の特徴を変更することができます
。
モーターの整備経歴は出走表の「直前情報」から確認しよう
部品交換や調整をすることができるモーターのパーツは、以下の 9つ です。
- ピストン
- ピストンリング
- キャブレター
- 電気系統一式
- シリンダーケース
- ギヤケース
- クランクシャフト
- キャリアボデー
- プロペラ
整備の履歴も出走表の「直前情報」から確認ができます。
ちなみに、
以下のどれかを行っている場合は調子が悪い
と考えられるため注意しましょう。
- クランクシャフト交換
- シリンダーケース交換
- キャリアボデー交換
- ピストンリング3~4本の交換
部品交換、整備に関する詳しい解説は以下のコラムをご確認ください。
「チルト」の角度も非常に重要な要素
チルト
とは、
ボートにモーターを取り付ける際の角度
のことです。
0.5度ずつ調整でき、「-0.5度、0.0度、0.5度、1.0度、1.5度、2.0度、3.0度」の8段階あります。
チルトの角度を下げると舟が水面に接する面積が大きくなるため、安定感が生まれてターンが回りやすくなります。
逆にチルトの角度を上げると、接地面が狭くなるため抵抗が減り、トップスピードが出やすくなりますが、ターンは回りにくくなります。
大外枠にチルト2度や3度の選手がいる場合、トップスピードでスタートを決めてそのまままくりを決める大波乱が起きることがあるので要注意です。
このように
チルト角を調整することで、ボートの特性が変わってくる
のです。
競艇選手は本番のレースの前に、自分好みにチルトを変更することが許されています。
【2024年最新】各競艇場のチルト角度一覧
選手たちはチルト角度を自由に変更することができますが、
安全性などを考慮して競艇場ごとに取り付けることができるチルト角度が決まっています
。
以下の一覧をご確認ください。
- 戸田競艇場:-0.5~0.5度
- 桐生競艇場:-0.5~+1.0度
- 住之江競艇場:-0.5~+1.5度
- 福岡競艇場:-0.5~+1.5度
- 大村競艇場:-0.5~+1.5度
- 江戸川競艇場:-0.5~+2.0度
- 徳山競艇場:-0.5~+2.0度
- 平和島競艇場:-0.5~+3.0度
- 多摩川競艇場:-0.5~+3.0度
- 浜名湖競艇場:-0.5~+3.0度
- 常滑競艇場:-0.5~+3.0度
- 蒲郡競艇場:-0.5~+3.0度
- 津競艇場:-0.5~+3.0度
- 三国競艇場:-0.5~+3.0度
- 尼崎競艇場:-0.5~+3.0度
- びわこ競艇場:-0.5~+3.0度
- 鳴門競艇場:-0.5~+3.0度
- 丸亀競艇場:-0.5~+3.0度
- 児島競艇場:-0.5~+3.0度
- 宮島競艇場:-0.5~+3.0度
- 下関競艇場:-0.5~+3.0度
- 若松競艇場:-0.5~+3.0度
- 芦屋競艇場:-0.5~+3.0度
- 唐津競艇場:-0.5~+3.0度
【2024年最新】全24場のモーター(エンジン)交換時期一覧
競艇で使用されるモーターはもちろん時間が経ったり、多く使用すると劣化していきます。
そのため、各競艇場は
1年に1度、所有するモーターをすべて新品のモーターに交換する
ことになっています。
モーターを交換してすぐはデータが揃っていないため、2連対率などの成績があてにならない可能性があり注意が必要です。
モーターの交換時期 は競艇場ごとに定められていますので、以下の一覧をご確認ください。
- 桐生:2023/12/28
- 戸田:2024/08/03
- 江戸川:2024/05/04
- 平和島:2024/06/13
- 多摩川:2024/04/11
- 浜名湖:2024/04/16
- 蒲郡:2024/07/16
- 常滑:2024/11/19
- 津:2023/12/16
- 三国:2024/02/28
- びわこ:2024/04/23
- 住之江:2024/03/15
- 尼崎:2024/04/23
- 鳴門:2024/04/02
- 丸亀:2024/09/26
- 児島:2023/12/01
- 宮島:2024/10/20
- 徳山:2024/06/01
- 下関:2024/03/12
- 若松:2024/11/25
- 芦屋:2024/04/11
- 福岡:2024/02/20
- 唐津:2024/09/01
- 大村:2024/06/19
【まとめ】ちなみにモーターとエンジンはどちらも間違いではありません!
今回は競艇でもっとも大切といってもよいほどのモーターについて、基礎知識をはじめ整備やチルトについて解説しました。
モーターを知ることは、
競艇予想で勝つためにも非常に大切な要素
です。
ちなみに今コラムでは
「モーター(エンジン)」
と記載しましたが、
モーターとエンジンは同じもので、違うのは呼び方だけ
です。
競艇はもともとモータースポーツと呼ばれていた経緯があり、基本的にはモーターと表現する場面が多いですが、原動機という点でエンジンという呼び方でも間違いではないのです。