競艇(ボートレース)とはスポーツでありギャンブルの一種

競艇は「きょうてい」と読み、「ボートレース」とも呼ばれます。
競艇はモーターボート競走法をはじめとする法令・ルールの下、プロの選手によって行われるモーターボート競技であり、ギャンブルの一つです。
6人の選手がモーターボートに乗り、水上のコースを走って順位を競います。
観客はその順位を予想して勝舟投票券(舟券)を購入することで、金銭を賭けるのです。
競艇は公営競技
競艇は、他の公営競技と比べて以下のような点が特徴的です。
- 競馬は最大18頭、競輪は9名、オートレースは8車で行われるのに対し、競艇は6人と最も少ない出走数のため、的中率が高い
- 競馬、競輪、オートレースは陸上で行われるのに対し、競艇は唯一水上で行われる
- 男性選手と女性選手が同条件で戦う
競艇の歴史は1952年から始まった
元々ボートレースは、「競艇」「ボート」「ボートレース」「モーターボート競走」など様々な呼び方がありましたが、1997年度から「競艇」に統一されました。
さらに2010年度からは「BOAT RACE」(ボートレース)と呼称することになり、これに伴って「競艇場」は「ボートレース場」、「競艇選手」は「ボートレーサー」へと呼称が変更されました。
呼称変更の背景として、若年層のファンの獲得、子どもから大人までイメージが湧きやすい「BOAT RACE」の普及、国際的に通用する競技を目指すなどが目的とされています。
競艇の仕組みを知るとより楽しめる
競艇のルール
競艇のレースで最初に行われるのが「スタート展示」と呼ばれる練習走行。
ここで選手はスタートのタイミングや水面の状態を確認します。

スタートはフライングスタート方式が採用されており、選手は大時計が0秒から1秒を指す間にスタートラインを通過しなければいけません。
0秒より早いと「フライング(F)」、1秒より遅いと「出遅れ(L)」となり、いずれも欠場となります。
もし選手がフライングや出遅れで欠場となった場合、その選手に賭けた舟券は返還となり、購入者には払い戻しが行われます。

コースは「第1ターンマーク」と「第2ターンマーク」という2つのターン地点があり、これらのカーブをうまく攻略することが勝利への鍵となります。
コーナーを上手く回れば、短い距離で大きなリードを取ることができるため、スタート時の位置取りやターンの技術がレースの勝敗を大きく左右します。
ボートごとの色表記
- 1号艇…白
- 2号艇…黒
- 3号艇…赤
- 4号艇…青
- 5号艇…黄
- 6号艇…緑
観客はこの色を参考にしながらレースを観戦します。
舟券を購入する際も番号と色を確認することで、より分かりやすく楽しむことができます。
競艇のグレードは「SG・PG1・G1・G2・G3・一般戦」の6つに分かれる

競艇のレースには「グレード」が設定されており、大会の規模や参加する選手の実力によってランク分けされています。
グレードは、上位からSG(スペシャルグレード)、PG1、G1、G2、G3、一般戦の6つ。
グレードによってレースの重要性や賞金額が異なります。
SG(スペシャルグレード)
SGとは競艇レースの中で最も格式が高い大会です。
年間で数回しか開催されないため、SGレースに出場できる選手はトップ中のトップとされています。
特に、競艇界の頂点を争う「グランプリ(GP)」は、優勝賞金が1億円を超えることもあり、多くのファンが注目するビッグイベントです。
SGの出場資格を得るためには、選手は過去の成績や賞金ランキングで優れた結果を出す必要があります。
PG1(プレミアムグレード1)
2014年から、元々G1に分類されていたうちの5つのレースが格上げされ、G1とSGの間のグレード「PG1」となりました。
2025年2月からは1レース追加され、PG1のレースは合計6レースとなります。
- BBC(ボートレースバトルチャンピオン)トーナメント(1月)
- スピードクイーンメモリアル(2月)※2025年に初回開催
- マスターズチャンピオン(4月)
- レディースチャンピオン(8月)
- ヤングダービー(9月)
- クイーンズクライマックス(12月)
PG1のレースは「〇歳未満」「〇歳以上」「女性のみ」など、特別な出場条件が設けられているところが特徴です。
G1(グレード1)
SGに次ぐグレードで、国内外で活躍するトップクラスの選手が集まる大会です。
G1レースの優勝は選手にとって大きな名誉であり、SGレースへの出場資格を得るためのステップにもなります。
競艇の中でも重要なポジションを占める大会で、ファンにとっても見逃せないイベントです。
G2(グレード2)
若手選手や中堅選手がステップアップを目指して活躍する場でもあり、次世代のスター選手が誕生する可能性のある注目の大会。
また、G2の成績次第でG1やSGレースへのステップアップが期待されるため、選手にとって重要な機会です。
G3(グレード3)
若手選手や地元選手が中心となるレースで、競艇ファンにとっては新たな選手を発見する場として楽しまれており、特に地元ファンに愛されています。
G3レースでは、これから実力を伸ばしていく選手の活躍が期待されるため、将来のスター選手をいち早くチェックするチャンスです。
一般戦
競艇の最も基本的なレースです。
特定の資格を必要としないため幅広い選手が参加でき、日常的に開催されています。
一般戦は、初心者から経験を積んだ選手までが参加し、レースを重ねることで実力を磨いていく場でもあります。
観客にとっても、気軽に舟券を購入し、選手の成長を見守る楽しみがあるレースです。
競艇の賭け方は大きく2種類ある
競艇で賭けるには、まずは舟券を購入する必要があります。
舟券は「競艇場で購入」「インターネットでの購入」の2種類があります。
舟券の買い方
- レースが開催される競艇場
- 賭けたいレース
- 購入する舟券の種類
- 購入したい賭け方
- 購入する金額
- 百円・千円・万円の単位
- 取り消し(誤って記入した場合のみ)
マークシートの記入が終われば、マークシートを持って自動販売機または窓口で購入しましょう。
配当金
購入した舟券が的中した際に払戻される金額で、「払戻金」として、100円で購入した場合の金額で表示されています。
なお、舟券や返換金の有効期間は60日間であることに注意しましょう。
競艇選手は老若男女が平等なルールで戦っている
他の多くのスポーツでは性別や年齢で試合が分かれることが多いですが、競艇では老若男女問わず同じレースに参加し、平等に勝負します。
このため、選手たちの競技人生が長く続くことも特徴です。
競艇選手の年齢は10代〜70代と幅広い

出穂和鼓(いずほ・わこ)選手は16歳(2024年10月現在)で最年少の選手です。
競艇選手の年齢はかなり幅広く、2024年10月現在活躍中の現役選手の中で、最年少は16歳、最年長は77歳と、最年少と最年長の年齢差はなんと60歳以上。
競艇はテクニックと経験が重要なため、年齢を重ねても第一線で活躍し続けることができるスポーツです。
40代から50代でもA1級と呼ばれるトップランクにいる選手は多く、積み重ねた技術と熟練のレース運びで若手選手に負けない成績を残しています。
毎年4月に開催される「マスターズチャンピオン」は、開催年の4月1日に満45歳以上の選手にのみ出場資格が与えられる、ベテラン選手のみが集う大会です。
女子レーサーも大活躍している

競艇は、女子選手も男子選手も同じルール、同じ条件でレースに出場し競い合っています。男女間には身体的な違いがありますが、競艇はボートの扱いやコース取りの技術が重要なため、女性でもトップクラスの成績を収める選手が多数。
女性限定の大会もあり、毎年8月に開催される「レディースチャンピオン」や毎年12月に開催される「クイーンズクライマックス」など、現在7大会です。
2025年2月には「スピードクイーンメモリアル」も追加され、合計8大会となります。
競艇場は全国に24箇所存在しておりファミリー層にも人気なスポット

競艇場は縦幅75m以上横幅440m以上の広さ、1周600mコースと定められていますが、競艇場によってターンマークの位置や水質が異なり、風や波の影響の受けやすさも違います。
そのため競艇場によって、インコースが強い、アウトコースが強いなども変わるのです。
全国の競艇場一覧
競艇場は全国に24カ所あります。
最北端は桐生競艇場(群馬県)であり、最南端は大村競艇場(長崎県)です。
- 桐生競艇場(群馬県みどり市)
- 戸田競艇場(埼玉県戸田市)
- 江戸川競艇場(東京都江戸川区)
- 平和島競艇場(東京都大田区)
- 多摩川競艇場(東京都府中市)
- 浜名湖競艇場(静岡県湖西市)
- 蒲郡競艇場(愛知県蒲郡市)
- とこなめ競艇場(愛知県常滑市)
- 津競艇場(三重県津市)
- 三国競艇場(福井県坂井市)
- びわこ競艇場(滋賀県大津市)
- 住之江競艇場(大阪府大阪市住之江区)
- 尼崎競艇場(兵庫県尼崎市)
- 鳴門競艇場(徳島県鳴門市)
- 丸亀競艇場(香川県丸亀市)
- 児島競艇場(岡山県倉敷市)
- 宮島競艇場(広島県廿日市市)
- 徳山競艇場(山口県周南市)
- 下関競艇場(山口県下関市)
- 若松競艇場(福岡県北九州市若松区)
- 芦屋競艇場(福岡県遠賀郡芦屋町)
- 福岡競艇場(福岡県福岡市中央区)
- 唐津競艇場(佐賀県唐津市)
- 大村競艇場(長崎県大村市)
競艇場の施設は意外と清潔で明るい雰囲気

競艇はギャンブルなので「ギャンブルをする場所=怖い、清潔ではない、若年層や子どもはいない」といったイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、今の競艇場は清潔で明るい雰囲気となっており、お金を賭けず入場や観戦だけなら無料のため、レジャースポットとしても利用できます。
カップルシートやキッズエリアなどもあり、カップルや家族で行くのもおすすめ。
レースだけでなく、芸人のショーや子ども向けのイベントも開催されています。